MILES AT FILLMOREのジャケット・デザインについて考えてみた。
最初にこの作品が発表されたのは1971年1月、複数の写真が何枚も斜めにあしらわれた見開きジャケットによる2枚組LPで、その時代のマイルスの音楽を予感させてくれるものであった。

既述のLPのデザインに比べて、CD4枚組のアルバムのジャケット・デザイン(前号参照)は炎のようなイラストが描かれているが、いったい何を意味しているのだろう。「マイルスのアルバムだ!」という主張が伝わってこない。ディスクのデザインも原色に文字を書いただけ、こういうのを「味もそっけもない」と言うのであろう。
以前日本で発売された1969MILESにしてもLIVE AT THE FILLMORE EAST(March 7,1970)にしても、CBSソニーが作成したジャケット・デザインはそれなりに凝った作りになっていたと思う。
CDの時代になって「ジャケ買い」という言葉が死語のようになってしまったが、それでもデザインは楽しいに越したことはない。
(続く)